インプラントに寿命はあるの?治療後に起こり得るトラブルと再手術費用
インプラントは入れ歯やブリッジと比べて長持ちする治療法ですが、「インプラントの寿命ってどのくらい?」「寿命がきたらどうするの?」と疑問をお持ちの方も多いかもしれません。
インプラントの平均生存率は10年以上といわれていますが、丁寧に日々の手入れを行うことで、20年以上快適に使い続けているケースもあります。
この記事では、インプラントの平均生存率や治療が必要なサイン、再治療の方法と費用などについて解説します。
また、インプラントの寿命を延ばすための対策についても紹介しますので、インプラントでいつまでもおいしく食事ができる状態を維持するために、記事を参考にしてみてください。
インプラントの10〜15年累積生存率は90〜94%
インプラントの平均寿命は10年以上といわれており、適切なメインテナンスを続けることで20年以上問題なく機能しているケースもあります。
インプラント治療から20年以上経過した患者さまを対象にした調査では、回答者のうち78%と8割近くが「インプラントに何も問題ない」と答えています。
入れ歯の平均寿命がおよそ3〜5年、ブリッジが7〜8年程度といわれる中で、インプラントはいずれと比べても長持ちすると言えるでしょう。
ここからは、部位や条件別の累積生存率について詳しく解説します。
なお、あくまでデータ上の平均値であり、インプラントの寿命は毎日のケアの状況や体質、健康状態、喫煙習慣などによっても変わります。
(参考:J-STAGE 日本口腔インプラント学会誌31巻(2018)2号『20年以上経過したインプラント患者のアンケート調査』)
(参考:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」『歯科インプラント治療のための Q&A』)
上顎の累積生存率:約90%
厚生労働省委託事業の「歯科インプラント治療のためのQ&A」によれば、部分欠損・全部欠損症例における10〜15年の累積生存率は、上顎で90%ほどとされています。
上顎は下顎と比べて骨密度がやや低い傾向にあり、若干数値が下がりますが、それでも高い生存率を維持していることがわかります。
また、自宅での丁寧な口腔ケアと歯科医院での定期メインテナンスを続けることで、寿命をさらに延ばせる可能性があります。
下顎の累積生存率:約94%
下顎の場合、10〜15年の累積生存率は約94%と報告されています。
上顎よりもやや生存率が高くなるのは、下顎は上顎よりも骨密度が高く、インプラント体(人工歯根)と骨がより強固に結合しやすいためです。
その他のケースの累積生存率:87~92%程度
抜歯と同時にインプラントを埋入する「抜歯即時埋入」や、骨の量が不足しているために「骨造成」を併用して行うケースでは、10〜15年の累積生存率は87〜92%程度とやや低くなる傾向があります。
抜歯即時埋入や骨造成は、いずれも高度な技術と経験が求められる処置です。
治療を担当する歯科医師の技術が仕上がりに影響するため、信頼できる歯科医師のもとで施術を受けることが大切です。
当院では、歯科用CTやISQ測定器(骨の結合度合いを測る装置)などの先端設備を活用した精密な診断のもと、低侵襲なインプラント治療に取り組んでいます。
インプラントはトラブルが起こるとどうなる?治療が必要なサイン
インプラントに問題が起きていると、以下のような症状が現れることがあります。
- 噛んだときに痛みや違和感がある
- インプラント周囲の歯肉が腫れている、赤みや出血がある
- インプラント本体がグラついている、ぐらぐらする感覚がある
- 被せ物(上部構造)が緩んでいる、欠けた・外れた
- インプラント周辺から膿が出ている
過度な力や清掃不良で上部構造やインプラント本体が壊れる、骨吸収を起こすなどの原因によって、インプラントに上記のようなトラブルが起きることがあります。
これらは定期検診で予防が可能な場合が多いため、しっかり定期検診に通うことが大切です。
また、インプラントにトラブルが生じた場合は自己判断で様子を見ることはせず、できる限り早めに歯科医院で相談しましょう。
トラブルが起きたインプラントを使い続けるリスク
トラブルが起きたインプラントをそのまま使い続けると、症状がさらに悪化する可能性があります。主なリスクは以下の通りです。
- インプラントが抜け落ちてしまう
- 痛みが生じる
- 隣接する歯や周囲組織に悪影響が及ぶ
- 再治療ができなくなる
- 再治療がより複雑・高額になる
インプラント周囲炎が進んだ状態で放置すると、インプラントを支えている顎の骨(歯槽骨)が溶けてしまい、再治療が難しくなってしまうことがあります。
重度のインプラント周囲炎では、自然にインプラントが脱落してしまうこともあります。
放置すればするほど、骨や周囲組織へのダメージが拡大してしまうため、インプラントに異変を感じたら放置せず、早めに歯科医院で相談しましょう。
インプラントにトラブルが起こった場合の治療法
インプラントにトラブルが起こった場合の治療法は、どの部分に問題が生じているかによって変わります。
ここでは「被せ物」と「人工歯根」それぞれの場合の治療法を紹介します。
被せ物の場合:交換や修理で対応可能なこともある
被せ物(人工歯)のみが劣化している場合は、比較的簡単な処置で対応できるケースが多いです。
例えば、インプラント体やアバットメントに問題がなく、被せ物の摩耗や破損、見た目の変化などであれば、被せ物の交換や修理だけで対応できることがほとんどです。
被せ物のみの交換や修理の場合、外科手術は必要ないため、身体への負担も少なく済みます。
人工歯根の場合:再手術が必要なケースが多い
インプラント体(人工歯根)そのものが破損したり、インプラント周囲炎が重症化して顎の骨が大きく失われたりしている場合には、再手術が必要になるケースが多い傾向にあります。
再手術では既存のインプラントを除去し、骨の状態が回復するのを待ってから新しいインプラントを埋入します。
インプラント周囲の骨が吸収されてしまっている場合は、骨造成を行うこともあります。
再手術は初回よりも難易度が上がることが多く、治療期間も長くなる傾向があります。
再手術が必要になる状況を避けるためにも、自宅での丁寧なケアに加え、歯科医院での定期メインテナンスを受け、インプラントを良好な状態に保つことが大切です。
インプラントの再治療の費用について
ここではインプラントの再治療の一般的な費用相場と、費用負担を軽減できる保証制度について解説します。
費用相場
再治療にかかる費用は、トラブルの場所と程度によって変わります。
クリニックによって異なりますが、目安は以下の通りです。
- 被せ物の再接着……5,000円程度
- 被せ物の作り直し……5万〜20万円程度(素材の種類によって変動)
- インプラント体やアバットメントの損傷がある場合……約30万〜70万円
この他、骨造成が必要な場合は追加でさらに費用がかかります。
ただし、保証期間内であれば、無償または一部有償で修理や交換ができることもあります。
保証制度
インプラント治療には、多くの場合メーカーや歯科医院による保証制度が設けられています。
一般的な保証期間は5〜10年ほどで、保証期間内に再治療が必要になった場合は、無償または低価格で対応してもらえる可能性があります。
ただし、保証が適用されるためにはいくつかの条件が定められていることが一般的です。代表的な条件としては以下があります。
- 定期的なメインテナンスを受けている
- 歯科医師の指示に従ってセルフケアを行っている
- 過度な喫煙・飲酒などの禁止事項を守っている
- 保証期間内である
- 日常生活による破損である(事故や災害ではない) など
保証はメインテナンスをきちんと継続していることが前提であり、歯科医師の指示に従っていない場合は対象外となるため注意しましょう。
例えば、自己判断で通院をやめてしまうと、保証が受けられなくなってしまう可能性があります。
インプラントの寿命を縮めてしまう原因
インプラントは他の治療法に比べて長持ちする傾向にありますが、生活習慣や口腔内の状態によっては、平均より早く寿命を迎えてしまうこともあります。
ここでは、インプラントの寿命を縮めてしまう代表的な5つの原因について詳しく解説します。
セルフケアや定期メインテナンスを怠った
インプラントの寿命を左右する要因の一つが、日々のセルフケアと歯科医院での定期メインテナンスです。
毎日の歯磨きを怠ると、インプラント周囲にプラーク(歯垢)が蓄積し、細菌感染のリスクが高まります。
また、インプラント治療後は歯科医院での定期メインテナンスを受けることも大切です。
インプラント周囲炎になった
インプラント周囲炎は、インプラントの寿命を縮めてしまう代表的な原因です。
インプラントの周辺組織に炎症が起こり、重症化するとインプラントを支えている顎の骨が溶け、最終的には人工歯根が抜け落ちてしまうケースもあります。
通常の歯周病よりも進行が早いため、日頃からしっかり予防しましょう。
歯ぎしりや食いしばりの影響
インプラントには天然歯のような歯根膜(噛む力のクッションとなり骨や歯への衝撃を和らげる膜)が存在しないため、歯ぎしりや食いしばりの力がダイレクトにかかります。
繰り返しインプラントに強い力が加わることで、寿命を縮める原因になってしまいます。
喫煙の影響
喫煙も、インプラントの寿命を縮める原因の一つです。
タバコに含まれる有害物質は血管を収縮させるため、歯肉の血流が悪くなり、骨の結合が悪くなったり、傷の治りが遅れたりすることがあります。
また、インプラント周囲炎のリスクも高まるため、インプラントを長持ちさせるためには、禁煙や減煙を心がけることが大切です。
インプラントの質が悪かった
インプラントは世界中に多くのメーカーがありますが、品質や価格には違いがあります。
中には「格安インプラント」と呼ばれる安価なものもありますが、質が高くない可能性があり、値段だけで選ぶことは避けた方が良いでしょう。
もちろん、「安いから質が悪い、高いから質が良い」というわけではありませんが、実績のある信頼性の高いメーカーのインプラントを使用しているか、問診やカウンセリングは丁寧かといった点も、術前にしっかり確認しましょう。
インプラントの寿命を延ばすための対策
インプラントの平均寿命は10年以上といわれていますが、適切なケアをすることで20年以上問題なく機能しているケースもあります。
インプラントの寿命を延ばし、快適に使い続けるためにも、いくつかの点に気をつけて過ごしましょう。
日々のセルフケアをしっかり行う
インプラントは虫歯になりませんが、歯周病(インプラント周囲炎)になることはあります。
毎日のセルフケアを丁寧に行うことがインプラント周囲炎の予防につながるため、歯ブラシやデンタルフロスを使ってしっかりケアを行いましょう。
歯科医院で定期的なメインテナンスを受ける
自宅でのセルフケアに加えて、歯科医院で定期的にメインテナンスを受けることも大切です。
一般的に、定期メインテナンスは3〜6か月に1回が目安ですが、歯周病リスクが高い・喫煙習慣がある・糖尿病の既往があるといった場合は、月1回のペースでの受診が必要になることもあります。
ナイトガードなど歯ぎしり対策をする
歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方には、就寝時にナイトガード(マウスピース)を装着するなど、インプラントを守るための対策を取りましょう。
歯ぎしりや食いしばりは、自分では気づいていないケースも多くあります。
朝起きたときに顎がだるい・歯が磨り減っている・舌に歯の跡(舌圧痕)があるといった症状がある場合は、一度歯科医院で相談してみましょう。
禁煙する
喫煙はインプラントだけでなく、口腔全体や全身の健康に悪影響を及ぼします。
インプラント治療を機に禁煙に取り組んでみることで、インプラントの寿命を延ばし、全身の健康維持にもつながります。
信頼できるメーカーのインプラントを選ぶ
インプラントの寿命は、使用するインプラント自体の品質も影響します。
一般的に世界シェア上位のメーカーほど症例数や臨床データが多く、安定性が期待できる傾向にあります。
治療前には使用するインプラントのメーカー・製品名・保証内容を確認しましょう。
まとめ
インプラントは適切なケアと歯科医院での定期メインテナンスを続けることで、20年以上にわたって機能し続けられる可能性のある治療法です。
しかし、セルフケア不足・歯ぎしり・喫煙などが重なると、寿命を縮めてしまうことがあるため、日々丁寧なケアを行いましょう。
岡山駅西口より徒歩9分の『ふじおか歯科・矯正歯科』では、歯科用CTをはじめとした先端機器を用いた精密な診断のもと、低侵襲なインプラント治療に努めています。
インプラントのトラブルや再治療についてお悩みの方、現在のインプラントの状態が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
